本編を視聴するには、セットの視聴条件をご確認ください


※通信の状況により動画の配信が止まることがありますのでご了承をお願いいたします。止まった場合はブラウザを再読込するか、しばらく時間をあけて再度アクセスしてください。

技術者と研究者に向けた伝熱工学の基礎と応用 第1章 伝熱工学の概要② 温泉卵と半熟卵

東北大学名誉教授/八戸高専名誉教授:圓山重直

レクチャーシリーズ伝熱工学の基礎と応用です。伝熱工学の質問として、温泉卵と半熟卵の違いについて考えます。2つの卵の違いは、加熱方法による非定常熱伝導が関わっています。
Let’s consider the difference between “hot-spring eggs” and “soft-boiled eggs.” In hot-spring eggs, the yolk sets while the white does not set. In soft-boiled eggs, the white sets, but the yolk remains runny. This is due to “transient heat conduction” resulting from the heating method.
 
 
技術者と研究者に向けた伝熱工学の基礎と応用
 
 
今回の要約
技術者と研究者に向けた伝熱工学の基礎と応用
東北大学未来科学技術共同研究センター レクチャーシリーズ
熱プロセスを習得したい人のための入門と実践的応用
講師: 圓山重直
第1章 伝熱工学の概要②
1-2 伝熱工学の質問A 温泉卵と半熟卵
 
【スライド1】「第1章 伝熱工学の概要」2回目伝熱工学の質問Aとして、「温泉卵と半熟卵」について考えます。質問は、「温泉卵と半熟卵は、同じ生ゆで卵ですが、どこが違うのだろうか」です。
【スライド4】温泉卵は、卵の黄身はほぼ固まっていますが、白身はトロトロの卵です。牛丼やうどん・そばのトッピングで注文される方も多いのではないでしょうか。一方、半熟卵は、白身は固まっていますが黄身がトロトロの状態の卵です。ラーメンのトッピングとして皆さんになじみがあるかもしれません。
温泉卵と半熟卵は、どこが違うのでしょうか。また、どのようにして作るのでしょうか。
【スライド5】この質問に対しての答えは色々あると思います。伝熱工学的に考えると、その答えの一例は、「温泉卵と半熟卵は、白身と黄身の凝固温度の違いと、卵を加熱する時の非定常熱伝導を使って異なる卵を作っている。」ということになります。
ここで重要なことは温泉卵と半熟卵は加熱時の「非定常熱伝導」をうまく使っている言うことです。卵は黄身と白身で凝固する温度が異なります。黄身は60~70℃で凝固するのに対して、白身はそれより高い温度の75℃~80℃で固まります。
まず温泉卵ですが、温泉などの60~70℃のお湯で長時間加熱することによって、白身の凝固温度に達しないで黄身だけを凝固させることができます。黄身の凝固点以下の温度で長時間加熱することが温泉卵で重要です。
次に半熟卵ですが、100℃近くの沸騰した高温のお湯で短時間加熱することにより、白身部分は凝固しますが、非定常熱伝導効果により、中心部の黄身の部分は凝固温度に達しないために、黄身が固まっていない半熟卵ができます。半熟卵は高温のお湯で短時間加熱することが重要です。この時、非定常熱伝導により、表面に近い白身の部分は高温になり、白身が凝固しますが、中心付近の黄身の部分は熱が伝わっていないために、黄身が固まらない状態となります。
【スライド6】これを検証するために、卵内部の非定常熱伝導のシミュレーションを行いました。温泉卵は70℃のお湯につけた場合を想定して、卵を入れた直後に表面温度が70℃になったと仮定して非定常熱伝導の解析を行いました。この例では、卵は30分で均一温度になっています。この温度では黄身は固まりますが、白身が固まる温度には達していません。温泉卵は、比較的低温度で長時間加熱する必要があります。例えば、魔法瓶にお湯を入れてその中で卵を長時間放置すると温泉卵ができます。
半熟卵の場合は、沸騰したお湯の中に卵を入れます。この時の、表面温度が98℃となったとしてシミュレーションを行いました。非定常温度分布をみると、3分から6分で白身の部分は白身の凝固点より高温になっていますが、黄身の中心部では黄身の凝固点に達していません。この時点で卵を取り出し、冷水で急冷すると白身は固まり黄身はトロトロの半熟卵ができることになります。つまり、半熟卵は非定常熱伝導をうまく使って作ることができます。

関連動画